red tree02

僕は熱せられた溶岩の様に赤く染まった
この木の上の世界へと進む。

ここからは、誰かが進まなければ
物語を動かせない。

軽快なジャズのグルーヴが
さらに僕のココロを誘ってくれる。

でも、居心地の良いこの場所から
見上げるそれは必ずしも魅力的ではない。

いや、あまりにも魅力的すぎるので
今の僕が待ち受けるであろう現実は
悲しみである事は用意に察する事ができた。

僕にとって魅力的な事は
僕以外にとっても魅力的である。

現実に近づく事は
現実を知る事と近い。

見上げる理想は、一部の現実に過ぎない。
僕は知りたくはないんだ。

僕は不安でたまらない
真実を知り、それを超えなければ
物語を動かせない。

あとは堕ちるだけ。

この羽を使えば飛べるはずだが
飛んだ事は無い。

真実を知る事無く、
力つきる事もあり得る。

それを十分に理解しているが
僕は上へ進む事にした。

今は、決してグルーヴに導かれるままではなく、
自分の意志で進む。

飛ぶ事が出来るのはここには
僕一人しか居ないから。

それが貴女に逢うための
唯一の手段だから。